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プロ野球死亡遊戯】清原和博「キヨマーと番長の狭間で」


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住まいは都心の高級マンスリーマンション。


清原和博、逮捕」のニュースで様々な情報が流れる中、最も切なかったのはこの部分だ。
孤独な借りぐらしのアリエッティ
どれだけ部屋が広かろうと、家賃が高かろうとそんなものは何の救いにもならない。
その持て余した空間にやがて感情はスポイルされてしまうからだ。
あれは泣ける。数年前、夏フェスで深夜に体調を崩し、友達とは別れ仕方なくひとりで幕張のホテルに泊まったことがある。
当然、手頃な値段の部屋はすべて満室。ようやく見つけたのはデラックスルームみたいな無意味にフルーツ盛り合わせが置いてある広い部屋。
一晩寝て体力も回復し、翌朝だだっ広い部屋のテーブルの前にひとり座りリンゴを食った。
…虚しかったよ。
恐らく、清原は高級マンスリーマンションの一室で毎晩のようにあの虚しさを体験していたのではないだろうか?

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正直に書くと、西武時代の清原和博には特別な思い入れがある。
79年西武ライオンズが所沢に移転してきた年に埼玉に生まれたガキ(俺)。
そりゃあ好きになるよ。巨人ファンでも清原・秋山は別格の地元のヒーロー。そんな感じ。
テレビ埼玉で観る背番号3は死ぬほどキラキラしていた。
漫画『かっとばせ!キヨハラくん』が連載されていたのは当時の小学生にとって人生の教科書コロコロコミックス。
高卒ルーキーで打率.304、31本塁打なんて奇跡のような成績を残す選手は今後しばらく出てこないだろう。
86年流行語部門・金賞受賞「新人類」の代名詞的存在として表彰式にも出席。
確かにあの頃の清原は何かを代表していた。
大袈裟な書き方をすれば、プロ野球を超えて、当時のニッポンの若者世代そのものを代表していたのだ。

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今となっては知らない人も多いだろうが、若かりし日の清原は「キヨマー」と呼ばれていた。
PL学園時代の超高校級の打撃から、阪急の三冠王助っ人ブーマーをもじった愛称である。
現役晩年の番長よりはるかに愛嬌のある響きのキヨマー。
キヨマーは東尾・石毛・工藤といった先輩たちから可愛がられ、堤オーナーからは溺愛された。
森監督も「無冠の帝王?彼には常勝軍団の4番打者という勲章がある」と信じて使い続けた。
10代の清原は周囲の大人たちから守られることにより、スーパースターでいられたわけだ。

それが年齢を重ねるにつれ、年上の頼れる先輩がチームから去り、自分が後輩たちを守る側になる。
求められたのは、愛すべき弟から兄貴への変貌。
だが20代の清原は90年の打率.307、37本塁打をピークに成績を徐々に落とし、97年に巨人へFA移籍。

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打撃不振や怪我に苦しみ、見てくれも変わり果て、いつからか愛すべきキヨマーから裸の番長へ。
キヨマーと呼ばれた頃の自分を取り戻そうと肉体改造に挑むも故障に泣かされ思うようにいかない日々。
最後は監督ともぶつかり、死にたいくらいに憧れた巨人軍を追われるように出て行った背番号5。

結局、清原という男は良くも悪くも弟気質なんだと思う。
誰かに守られてこそノビノビと野球に打ち込むことができた。
西武時代は秋山やデストラーデとその重圧をワリカン。
巨人時代に最も活躍した2001年シーズン、ともにクリーンナップを組んだのは全盛期バリバリの松井秀喜高橋由伸
そして何より、栄光のPL学園時代には隣に桑田真澄という盟友がいた。

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清原と桑田のこんな有名なエピソードがある。
高校1年の夏の甲子園、日本中から注目された15歳のふたりは試合前に蝉をとりに行ったという。
ヤバい。セミとりは反則だ。
男にとって、10代中盤から20代中盤の恐ろしく無力な時代を共有した仲間は特別だ。
金も経験もなく、同世代の可愛いおネエちゃんは年上のおっさんに持っていかれる。
でも、そんな冴えない日々もこいつといれば笑って過ごせる。
引退後の清原にそういう信頼できる友人がいれば、今回の事件は回避できたのではないだろうか?

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ただ残念だ。
今回の件で清原はしばらく野球界にかかわることはできないだろう。
しっかり罪を償い、「キヨマー」でも「番長」でもない何者でもなかった清原和博に戻れることを願う。

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プロ野球死亡遊戯さんより