ポンタの想い出

俺に明日はあるのか?

高橋由伸

f:id:god634526:20151125112809j:plain

【読売送別遊戯】高橋由伸「振り返らない天才」
おいおい来シーズンの巨人は大丈夫か?

2015年最後の東京ドームのバックネット裏からそう思った。
ファンフェスタで完璧な高橋由伸の引退セレモニー直後に開催されたホームラン競争
キャプテン坂本は見事なポップフライを打ち上げまくり、奈良のジョニー岡本はもはや声が小さすぎて何を言っているのか分からへん。
参加4選手の今季本塁打数は坂本12本、亀井6本、岡本1本、大田1本。
全員合わせて20本。ラーメンの具がナルトだけみたいな物足りなさ。
ゴメン、もうちょいパンチが欲しいっす。
俺らみんな由伸と阿部に甘えすぎた。
巨人の生え抜き和製大砲はここ数年、というか21世紀に入ってからずっと2人に頼りっぱなし。
そして、ついにその背番号24も現役引退しちまった。

引退セレモニーの始まりから終わりまで、緊張しながらも高橋由伸は最後の最後までいつもの高橋由伸だった。
菅野とのラスト勝負の打席に入る仕草も、大観衆に向けての簡潔で力強い挨拶も、胴上げされる控え目の笑顔さえも。
たいした男だ。
だって、スピーチで突然号泣されたりしたら、超満員の観客も動揺して怒るじゃん。
もっと現役やらせてやれみたいなさ。
自分が軽卒な行動や発言をすれば、チームを壊しちまう。
そんなのは百も承知でヨシノブはヨシノブをやり切った。

じゃあ建前と綺麗ごとだけの全員門限夜7時の合コンみたいな空っぽのセレモニーだったのか?
いやそんなことはない。
場内のオーロラビジョンに慶応大学時代からの選手生活を振り返る特別映像が流れた時のことだ。
東京ドームには、その偉大なる足跡のBGMとしてOasisの『Don’t Look Back In Anger』が鳴り響いた。
突然、キャリアの最後に自身の登場曲には使ったことのないイギリスのロックバンドの代表曲。
なぜこの曲だったのか?

今回の選曲が由伸本人の希望なのか、制作スタッフのチョイスなのかは分からない。
ただ、完璧すぎて鳥肌が立った。
曲名「Don’t Look Back In Anger」をそのまま日本語訳すれば「過ぎたことに怒らないで」となる。
突然の引退、電撃的監督就任、この流れに納得のいかないファンもいるだろう。
でも「過ぎたことに怒ったりしないで」と言葉なきラストメッセージ。
凄い。なんて粋な演出なんだろう。

もちろん歌詞に決まった意味なんかない。捉え方も人それぞれだ。
けど、甘いマスクで泥臭いダイビングキャッチを繰り返した背番号24の激情に、Oasisノエル・ギャラガーの男臭い熱唱は死ぬほど似合っていた。
過去を振り返るな。
クールに見えて、誰よりも熱かった男は後ろを振り返らず未来へと進む。
分かったよ、俺らも一緒に付き合うよ。

さらば天才バッター。
来年からよろしく由伸監督。

See you baseball freak・・・