さらば ソフトバンク
スプリントの立て直しに失敗し、窮地に落ちるソフトバンク
ソフトバンクが窮地に落ちている。
ソフトバンクは2012年にスプリント・ネクステル(現スプリント・コーポレーション)を買収した。このときの買収額は216億ドルだが、現在のスプリントの時価総額は114億ドルにまで縮小している。
2016年に入ってからグローバル経済が変調を来しているので全世界の株式が売られているのだが、2016年1月15日は、スプリント株も叩き売られて 9.87%も暴落するという非常事態になっている。
AT&Tやベライゾンも1%ほど下落しているが、それに比べても10%近い暴落はスプリントに異常事態が発生していると見てもいい。
ソフトバンク自身も2015年11月からずっと売られ続けており、2016年1月19日には、とうとう一時的に5000円台を割るほどの下落を見せた。
ソフトバンクが下げているのは、12兆円もの借金を抱えたままスプリントの経営が立ち往生していることから来ている。
このまま手の打ちようがないまま推移していくと、さらに株価も下落し、危機的な状況になることが予測される。
手も足も出ない状況に陥っているスプリント
ソフトバンクの孫正義氏はスプリントの次にTモバイルを買収してアメリカの通信業界の覇権を取ろうとした。しかし、肝心のTモバイルの買収に失敗してすべての計画が狂った。
当初はTモバイルの買収は断念していないと言っていたのだが、2014年8月には正式に買収交渉を断念したと発表した。
そこから、スプリント単独でAT&Tやベライゾンと言った「巨人」と戦うことが強いられたのが、その道は果てしなく険しいものだ。
AT&Tやベライゾンがどれくらい巨人なのかは、売上を見れば一目瞭然だ。
3社の財務諸表を見ると、売上総利益は以下のようになっている。(スプリントのみ決算日が近い2015年3月31日のデータ、他2社は2014年12月31日決算)
AT&T 約718億ドル
ベライゾン 約771億ドル
スプリント 約155億ドル
スプリントが何とか勝ち上がるには、今よりも5倍ほどの成長を成し遂げて、やっとそこから勝負に入るわけで、今は手も足も出ない状況である。
しかし現実と言えば、勝ち上がるどころか契約件数がどんどん減少してじり貧になっている。
皮肉なことにTモバイルの買収をあきらめた2014年から、このTモバイルが様々なサービスで攻勢を強めてスプリントを追い込み、2015年にはとうとう総契約件数でスプリントを追い越してしまった。
スプリントは毎年赤字が嵩んでおり、このままでは資金不足に陥って、さらにソフトバンクは資金の投入をこの赤字会社にしなければならない羽目に陥る。
すでに12兆円もの借金を背負っているソフトバンクには苦渋の道である。増資をするとなると、その瞬間に株価はもっと暴落していく。