ポンタの想い出

俺に明日はあるのか?

夏だから


夏だから


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私にまで強制的に遺伝してる


初めて書き込みさせていただきます。


私は18歳の高校生(女)なんですが、
卒業した先輩に聞いた話を
紹介したいと思います。



以下、聞いたままを記載します。


「私がまだ生まれる前、お兄ちゃんが2つか3つの頃だったんだけど、家族で一軒家に引っ越したことがあったのね。特に建物が古いとかってわけでもないしとにかく安いからって理由で買ったんだけど、案の定、曰く付きだってことを入居した後に聞かされたんだよ。」

「どうもうちらが入る1ヶ月だか前に、向かいの家で焼身自殺があったらしいのね。そんでこの家をうちらが買った方ね。でも前の住人がその場面(焼身自殺)をモロに見ちゃったとかで、ショック死だか発狂したんだか知らないけど、とにかく行方不明になっちゃったんだって。」

「でも今更そんな話聞かされたってもう手続きした後だったし、もちろん気分良いわけないけど仕方なくそれには目を瞑って暮らしだしたわけ。」

「けどその日から明らかにお兄ちゃんの様子がおかしくなった。」

「階段の踊り場の窓から例の向かいの家が見えるんだけど、そこを通る度にお兄ちゃんが言うの。『人が燃えてるよ!』って。まだ3歳の子供がだよ?」

「他にもお風呂に入ったら入ったでいきなり泣き出すし、ことあるごとに『怖いおばあちゃんに殺される』とか口走るしで・・・さすがに親もまずいんじゃないかと思い始めたけど、具体的にどうしたらいいのかわからないまま時間が経ってお兄ちゃんの妙な言動はそのまま幼稚園に上がっても続いてたの。」

「結局そこには2年くらい住んでたんだけど、その2年の間に病気だなんだでお兄ちゃん3回くらい死にかけたって。」

「入退院も年齢の割にはあり得ない回数だったらしいし、このままじゃ本気でヤバいと思った親がやっと有名な霊能者だかを呼んだんだって。遅せーよって話だけど(笑)そんでその霊能者が、お兄ちゃんを見るなり言うのよ。『この子よく今まで生きてたね、もう10体以上憑かれてるよ』って。」

「そんなん言われたらもう引っ越すしかないじゃん。何とか今の家探して移って来たらしいけど、そんなヤバい家に2年も住んじゃったもんだからもう家族全員バッチリ見える様になっちゃってて、父さん家帰って来た時『おーい、玄関の前で女が泣いてるから塩まけ塩』とか言ってるくらい。しかも、その後生まれた私にまで強制的に遺伝してるし、マジ冗談じゃないよね。」

「今はもういい加減慣れたから、お兄ちゃんとゲームしてる時後ろで見てるのがいてもシカトできるし、チョコ(犬)が庭のユズの木の首吊り霊に吠えてても黙って部屋に上げるのがあたりまえになっちゃってるけど、この間久々にまずいと思ったことがあったよ。」

「夜10時くらいにチョコの散歩に出かけた時、近所の公園の横通った時に中に人影が見えたのね。最初は気にしてなかったんだけど、よく見たら首に縄ついててしかも顔が血で赤いんだ。『あ、コレやべえ』と思ったんだけど足が動かなくて、犬も怯えて座り込んでんの。」

「焦ったよ、何かあっちも気付いたらしくて笑いながら近づいて来てるし、これ本気で死ぬかもってちょっと覚悟したもん。」

「その時ちょうどお母さんが私が忘れたフン袋持って追いかけて来てて、固まってる私に『いいから。何も見えないふりしてゆっくりこっちに来なさい』って言って何とか助けてくれたんだけど、あれ系奴って普段滅多に見ないから油断してたんだね。あれは本当にギリギリだったと思うよ。」




俺はその女を直接見てはいない


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猪名川(宝塚の北)で車を走らせてた時、

後ろの車がやたらパッシングするのよ。

DQNが煽ってるんだと思って

無視して走ってたんだが、


あまりにもしつこくパッシングするので、こっちも頭にきて路肩に車を止めたら、そいつも同じように止めてきた。

俺は車を出て「何やねん!何か文句あるんかいや!」と食って掛かったら、向こうも車から降りて来たのよ。
でも顔が真っ青・・・。



そいつが言うには、運転中の俺の車の屋根に女が座ってて屋根から運転席を覗きこみながらドアウィンドウを両手がガリガリやってた。
運転席に入り込もうとしているみたいだった。

それで、俺にその事を伝えようとしたけど近づくの怖いからパッシングで知らせてた・・・
て言うのよ。

俺はその女を直接見てはいないんだけど、今でもちょっとトラウマになってる・・・。




辺りを見回すと、後ろに白猫が一匹


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うちの母は大の動物好き。

テレビでどんな人間ドキュメントが

あってもしらけ顔なのに、

動物物となると号泣できる。


そんな母がある日、父の生家のある田舎道を歩いていると、

「もしもし、そこのお方」

と呼び止められた。

「??」

と辺りを見回すと、後ろに白猫が一匹。

猫が一鳴きすると、
垣根から痩せこけた子猫がゾロゾロ出てきた。

「何か欲しいの?」

と白猫に聞くと、

「にゃんでも構いません」

と答えたので、パンを一袋買って置いてきたそうだ。

母はこれを真面目に話してきた。

まぁ、動物好きで野良猫を病院に連れてくような母だ。

お礼に(?)三日三晩、
玄関にモグラを持ってくる猫の姿を目撃している自分としては、
あり得ない話ではない…気もする。





人ごみにまぎれて妙なものが見えること


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人ごみにまぎれて妙なものが見えることに

気付いたのは去年の暮れからだ。

顔を両手で覆っている

人間である。


ちょうど赤ん坊をあやすときの格好だ。
駅の雑踏の様に絶えず人が動いている中で、立ち止まって顔を隠す彼らは妙に周りからういている。

人ごみの中でちらりと見かけるだけでそっちに顔を向けるといなくなる。
最初は何か宗教関連かと思って、同じ駅を利用する後輩に話を聞いてみたが、彼は一度もそんなものを見たことはないという。
その時はなんて観察眼のない奴だと内心軽蔑した。
しかし、電車の中や登下校する学生達、さらには会社の中にまで顔を覆った奴がまぎれているのを見かけてさすがに怖くなってきた。

後輩だけでなく何人かの知り合いにもそれとなく話を持ち出してみたが・・・誰もそんな奴を見たことがないという。
だんだん自分の見ていないところで皆が顔を覆っているような気がしだした。
外回りに出てまた彼らを見かけた時、見えないと言い張る後輩を思いっきり殴り飛ばした。

俺の起こした問題は内々で処分され、俺は会社を辞めて実家に帰ることにした。
俺の故郷は今にも山に飲まれそうな寒村である。



両親が死んでから面倒で手をつけていなかった生家に移り住み、しばらく休養することにした。
幸い独身で蓄えもそこそこある。
毎日本を読んだりネットを繋いだりと自堕落に過ごした。
手で顔を覆った奴らは一度も見なかった。

きっと自分でも知らないうちにずいぶんとストレスがたまっていたのだろう。
そう思うことにした。

ある日、何気なく押入れを探っていると懐かしい玩具が出てきた。
当時の俺をテレビに釘付けにしていたヒーローである。
今でも名前がすらすら出てくることに微笑しながらひっくり返すと俺のものではない名前が書いてあった。

誰だったか??

そうだ、確か俺と同じ学校に通っていた同級生だ。
同級生といっても机を並べたのはほんの半年ほど。
彼は夏休みに行方不明になった。
何人もの大人が山をさらったが彼は見つからず、仲のよかった俺がこの人形をもらったのだった。

ただの懐かしい人形。

だけど妙に気にかかる。
気にかかるのは人形ではなく記憶だ。
のどに刺さった骨のように折に触れて何かが記憶を刺激する。
その何かが判ったのは生活用品を買いだしに行った帰りだった。

親友がいなくなったあの時、俺は何かを大人に隠していた。
親友がいなくなった悲しみではなく、山に対する恐怖でもなく、俺は大人たちに隠し事がばれないかと不安を感じていたのだ。

何を隠していたのか。
決まっている。
俺は親友がどこにいったか知っていたのだ。

夕食を済ませてからもぼんやりと記憶を探っていた。
確かあの日は彼と肝試しをするはずだった。
夜にこっそり家を抜け出て少し離れた神社前で落ち合う約束だった。
その神社はとうに人も神もいなくなった崩れかけの廃墟で、危ないから近寄るなと大人達に言われていた場所だ。

あの日、俺は夜に家を抜け出しはしたのだが昼とまったく違う夜の町が怖くなって結局家に戻って寝てしまったのだ。
次の日、彼がいなくなったと大騒ぎになった時俺は大人に怒られるのがいやで黙っていた。
そして今まで忘れていた。





俺は神社に行くことにした。
親友を見つけるためではなく、たんに夕食後から寝るまでが退屈だったからだ。
神社は記憶よりも遠かった。
大人の足でもずいぶんかかる。
石段を登ってから神社がまだ原形をとどめていることに驚いた。

とうに取り壊されて更地になっていると思っていた。
ほんの少し期待していたのだが神社の周辺には子供が迷い込みそうな井戸や穴などはないようだ。
神社の中もきっとあのときの大人たちが調べただろう。

家に帰ろうと歩き出してなんとなく後ろを振り返った。
境内の真ん中で顔を両手で覆った少女が立っていた。

瞬きした。
少女の横に顔を覆った老人が立っていた。

瞬きした。
少女と老人の前に顔を覆った女性が立っていた。

瞬きした。
女性の横に古めかしい学生服を着込んだ少年が顔を覆って立っていた。

瞬きした。
皆消えた。

前を向くと小学生ぐらいの子供が鳥居の下で顔を覆って立っていた。
俺をここから逃がすまいとするように。
あの夜の約束を果たそうとするように。




ヤバい仕事


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これを書いたら、昔の仲間なら俺が誰だか分かると思う。
ばれたら相当やばい。
まだ生きてるって知られたら、また探しにかかるだろう。
でも俺が書かなきゃ、あの井戸の存在は闇に葬られたままだ。
だから書こうと思う。
文章作るの下手だし、かなり長くなった。
しかも怪談じゃないから、興味の湧いた人だけ読んで欲しい。

今から数年前の話。
俺は東京にある某組織の若手幹部に使われてた。
Nさんって人。
今やそういう組織も、日々の微妙にヤバい仕事はアウトソーシングですよ。
それも組織じゃなく、個人が雇うの。
警察が介入してきたら、トカゲの尻尾切りってやつね。

その代わり金まわりは、かなり良かったよ。
俺は都内の比較的金持ちの日本人、外国人が遊ぶ街で働いてた。
日々のヤバい仕事っていうと、凄そうだけど、実際に俺がやってたのは、ワンボックスで花屋に花取りに行って代金を払う。
その花を俺がキャバクラから、高級クラブまで配達する。
キャバクラ行くと、必ず花置いてあんだろ?あれだよ。
で、花配りながら集金して回る。

もちろん花屋に渡した代金の、3~5倍はもらうんだけどね。
3万が10万、5万が25万になったりするわけよ。
月に3千万くらいにはなったね。



俺がやるヤバい仕事ってのは、最初はその程度だった。
それでも結構真面目にやってた。
相手も海千山千のが多いからさ。
相手が若僧だと思うと、舐めてかかって、値切ろうとするバカもいるんだよね。

その度に暴力沙汰起こしてたんじゃ、仕事になんないわけだ。
起こす奴もいるけど・・・。
でも警察呼ばれたら負けだからね。
次から金取れなくなるから、組から睨まれる。
タダじゃすまんよ。

そういう時、俺は粘り強く話す。
話すけど肝心なトコは絶対譲らない。
一円も値切らせないし、ひとつの条件もつけさせない。
前置き長くなったけど、まあうまくやってるってんで、Nさんの舎弟のSさん、Kさんなんかに、結構信頼されるようになった。

それで時々花の配達に使ってるワンボックスで、夜中に呼び出されるようになった。
積んでるのは、多分ドラム缶とか段ボール。
荷物積む時は、俺は運転席から出ない事になってたし、後ろは目張りされてて、見えないから。

それでベンツの後ろついてくだけ。
荷物を下ろしたら、少し離れたところで待たされて、またベンツについて帰って、金もらって終了。

何を運んでたなんて知らない。
その代わり、1回の仕事で、花の配達の1ヶ月分のバイト代をもらえた。

ある夜、また呼び出された。
行ってみると、いつもとメンツが違う。
いつもはSさんかKさんと、部下の若い人だったがその日は、幹部のNさんがいて、他にはSさん、Kさんの3人だけ。
3人とも異様に緊張してイラついてて、明らかに普通じゃない雰囲気。
俺が着いても、エンジン切って待ってろって言ったまま、ボソボソ何か話してた。

「・・・はこのまま帰せ」

「あいつは大丈夫ですよ。それより・・・」

途切れ途切れに会話が聞こえてたけど、結局俺は運転していく事になった。
何だか嫌な予感がしたけどね。

後ろのハッチが開いて、何か積んでるのが分かった。
でも今回はドラム缶とか、段ボールじゃなかった。
置いた時の音がね、いつもと違ってた。
重そうなもんではあったけど。

更に変だったのが、SさんとKさんが同乗した事。
いつもは俺一人で、ベンツについてくだけなのに。
しかもいきなり首都高に入った。
あそこはカメラもあるし、出入口にはNシステムもあるから。
こういう仕事の時は、一般道でもNシステムは回避して走るのに・・・。

首都高の環状線は皇居を見下ろしちゃいけないとかでさ、何ヵ所か地下に入るよね。
恥ずかしながら、俺は運転には自信あるけど、道覚えるのは、苦手なんだよね。
方向音痴だし。

多分環状線を、2周くらいしたと思う。
車が途切れたところで、突然Nさんが乗るベンツが、トンネルの中で、ハザード出した。
それまでSさんもKさんも、ひと言もしゃべらなかったけど、Sさんが、右の車線に入って止めろって。

言われるままに止めたよ。
そこって合流地点だった。

で、中洲みたいになってるとこに、バックで車入れろって言うからその通りにして、ライト消した。

両側柱になってて、普通に走ってる車からは、振り返って見たとしても、なかなか見つけられないと思う。
まあ見つけたとしても、かかわり合いにならない方が良いけどね。
Nさんが乗ったベンツは、そのまま走り去った。



SさんとKさんは、二人で荷物を下ろしてたけど、俺にも下りて来いって。
俺はこの時も、嫌な予感がした。
今まで呼ばれた事なんて無かったし。

SさんとKさんが、二人で担ぎ上げてるビニールの袋。
映画とかでよく見る、死体袋とかいう黒いやつ。
もう中身は、絶対に人間としか思えない。
とんでもない事に巻き込まれたって思って、腰が痛くなった。
多分腰抜ける寸前だったんだろう。
何で組の人じゃなくて、俺なの?ってその時は思ったけど、その理由も後になれば分かったんだけど。

で、Sさんがポケットに鍵があるから、それ使って、金網の扉の鍵開けろって言うから言う通りにした。
金網開けて、5~6メートルでまた扉にぶつかる。
扉というより、鉄柵って感じかな。
だって開ける為の把手とか無いし、第一鍵穴すら見当たらない。

どうすんだろうな?と思ったら、またSさんが別のポケットを指定。
今度は大小ひとつずつの鍵。
コンクリの壁にステンレスの小さい蓋が付いてて、それを小さい方の鍵で開ける。
中に円筒形の鍵穴があって、それは大きい方の鍵。
それを回すと、ガチャって音がして、柵が少し動いた。

右から左に柵が開いた。
壁の中まで柵が食い込んでて、その中でロックされてる。
鍵を壊して侵入は、出来ない構造らしい。

更に先はもう真っ暗。
マグライトをつけて先に進んだけど、すぐに鉄扉に当たった。
『無断立入厳禁防衛施設庁』って書いてあった。
これは不思議だった。
だってここ道路公団の施設だよね?

ていうか、こんなとこ入って、平気なのかなって思った。
まあこの人たちのやる事だから、抜かりは無いとは思うんだけど、監視カメラとかあるんじゃないのって、不安になったけど、中に進んだら、もっと不思議なもんが、待ってたんだけどね。

鉄の扉も、さっきの鉄柵と同じ要領で開いて、俺たちは中に入った。
SさんもKさんも、うっすら汗かき始めてて、随分重そうだったけど、運ぶの手伝えとは言わなかった。
中に入るとすぐ階段で、ひたすら下に下りて行った。
結構下りた。
時々二人が止まって、肩に担ぎ上げた「荷物」を担ぎ直してた。

階段を下りると、もの凄く広い通路が、左右に伸びてた。
多分幅10mくらいあったと思う。
下りたところで、ひと休みした。

通路はところどころ電灯がついてて、凄く薄暗いけど、一応ライトは無しで歩けた。
俺たちは反対側に渡って左手に向かって進んだ。

時々休みながら、どれくらい進んだかな。
通路自体は分岐はしてない。
ひたすら真っ直ぐで、左右の壁に時々鉄の扉がついてる。
ある扉の前でSさんが止まって言った。

「これじゃねえか。これだろ」

そこには『帝国陸軍第十三号坑道』そう書いてあった。
字体は古かったけど。
信じられる?今の日本にあるのは、陸上自衛隊でしょ。
何十年も前のトンネルなのか、これは?

SさんもKさんも、汗だくで息も荒くなってたから、扉を入ったところで、また「荷物」を下ろして、休憩する事にした。
二人とも無言だったから、俺も黙ってた。

しばらくして、Sさんがそろそろ行こうって言って、袋の片側、多分『足』がある側を持った。
そしたら・・・『袋』が突然暴れた。

Sさんは不意を突かれて、手を放してしまい、弾みで反対側の袋の口から、顔が出てきた。
猿ぐつわを噛まされた、ちょっと小太りの男。
どっかで見たことある・・・それもあるけど、分かっていながらも、袋からリアルに人が、しかも生きた人が出てきた事にビビッて、俺は固まってた。

「おい何で目を覚ました!」

「クスリ打てクスリ!」

「袋に戻せ!」

とか言ってるのが聞こえた。

Kさんはクスリは持って無いとか、何とか答えてた。
その間も『袋』は暴れてた。
暴れてたというか、体を縛られてるらしく、激しく身をよじって、袋から出ようとしていた。
するとSさんが、袋の上から腹のあたりを、踏んづけるように蹴った。
一瞬『袋』の動きが止まったけど「ウ?!」と、すごい唸り声を上げながら、また暴れ出した。

Sさんは腹のあたりを、構わず蹴り続けた。
それでも『袋』は、暴れ続けた。
やがてKさんも加わって、二人で滅茶苦茶に蹴り始めた。
パキって音が、2、3回立て続けにした。
多分肋骨が折れたんだと思う。

『袋』の動きが止まった。
その時なぜか、男は頭を振って、俺に気が付いた。
それまですごい形相で、暴れていた男が、急に泣きそうな顔で、俺を見つめた。

Sさんが「袋に戻せ」と言うと、Kさんが男の肩のあたりを、足で抑えながら、袋を引っ張って、男を中に戻した。
今でもその光景は、スローモーションの映像のまま、俺の記憶に残ってる。

男は袋に戻されるまで、ずっと俺を見てた。
一生忘れられない。

Kさんが、袋の口をきつく縛るのを確認すると、Sさんは更に数回、袋を蹴った。

「これくらいかな。殺しちゃまずいからな」

Sさんはそう言って、俺を見た。

「お前、こいつの顔を見たか」

「いえ・・・突然だったんで、何が何だか」

そう答えるのが、精一杯だった。
その時は本当に、どこかで見たような気がしたけど、思い出せなかった。

SさんとKさんは、再び動かなくなった『袋』を担ぎ上げた。
それまでと違うのは、真ん中に俺が入ったこと。
もう中身を知ってしまったので、一連托生だ。

それからその13号坑道ってやつを、延々歩いた。
今までの広い通路とはうって変わって、幅が3mも無いくらいの、狭い通路だった。

右手は常に壁なんだけど、左手は時々、下に下りる階段があった。
幅1mちょいくらいの階段で、ほんの数段下りたところに、扉がついてた。

何個目か分かんないけど、Sさんがある扉の前で止まれって言った。
帝国陸軍第126号井戸』って書いてあった。
それでSさんに言われるまま、中に入った。

中は結構広い部屋だった。
小中学校の教室くらいはあったかな。
その真ん中に、確かに井戸があった。
でも蓋が閉まってるの。
重そうな鉄の蓋。





端っこに鎖がついてて、それが天井の滑車につながってた。
滑車からぶら下がっている、もうひとつの鎖を引いて回すと、蓋についた鎖が徐々に巻き取られて、蓋が開いてく仕掛けになってた。

オレは言われるままに、どんどん鎖を引っ張って、蓋を開けていった。
完全に蓋が開いたとこで、二人が『袋』を抱え上げた。
もう分かったよ。







この地底深く、誰も来ない井戸に、投げ込んでしまえば、二度と出てこないもんね。
でもひとつだけ分からない事があった。
なんで「生きたまま」投げ込む必要があるの?

二人は袋を井戸に落とした。

『ドボーン!』

水の中に落ちる音が、するはずだった。
でも聞こえてきたのは、バシャッて音。
この井戸、水が枯れてるんじゃないの?って音。
SさんとKさんも、顔を見合わせてた。

Sさんが俺の持っているマグライトを見て顎をしゃくってみせ、首を傾げて井戸を覗けってジェスチャーをした。
マグライトで照らしてみたけど、最初はぼんやりとしか底まで光が届かなかった。
レンズを少し回して焦点を絞ると、小さいけど底まで光が届いた。

光の輪の中には
『袋』の一部が照らし出されてる。
やっぱり枯れてるみたいで、水はほとんど無い。

そこに手が現れた。
真っ白い手。
さらにつるっぱげで、真っ白な頭頂部。

あれ、さっきの『袋』の人、つるっぱげじゃ無かったよな。
ワケが分かんなくて、呆然と考えていたら、また頭が現れた。

え?2人?ますます頭が混乱して、ただ眺めてたら、その頭がすっと上を向いた。
目が無い。
空洞とかじゃなくて、鼻の穴みたいな小さい穴がついてるだけ。

理解不能な出来事に、俺たちは全員固まってた。
しかも2人だけじゃ無さそうだ。
奴らの周囲でも、何かがうごめいている気配がする。

何だあれ?
人間なのか?
なぜ井戸の中にいる?
何をしている?

その時、急に扉が開いて、人が入ってきた。
俺は驚いてライトを落として、立ち上がってた。
SさんとKさんも。

入ってきたのは、Nさんだった。
Nさんは俺たちを見て、怪訝そうな顔をした。

「S、もう済んだのか」

Sさんは少しの間、呆然としていたけど、すぐに答えた。

「済みました」

Nさんは俺たちの様子を見て、俺たちが井戸の中身を見た事を悟ったみたいだった。

「見たのか、中を」

俺たちはうなずきもせず、言葉も発しなかったが、否定しないことが肯定になった。

「さっさと蓋閉めろ」

言われて俺は、慌てて鎖のところに行って、さっきとは反対側の鎖を引いて回した。
少しずつ蓋が閉まっていく。

「余計な事を考えるんじゃねえ。忘れろ」

そう言われた。
確かにそうなんだけど、ぐるぐる考えた。
殺しちゃまずいって、Sさんは言ってた。
Sさん自身も、なぜ殺しちゃだめなのか、知らなかったんだと思う。
生きたまま落とした理由は?
生きたまま・・・・あの化け物のような奴らがいるところへ。
考えたく無くなった。

俺たちは来た道を戻り、車で道に出た。
今度はSさん、Kさんは、Nさんのベンツに乗っていった。
そしてそれが3人を見た最後になった。

俺は思い出していた。
あのとき『袋』に入っていた男の顔を。
最近出所してきた、会長の3男だった。
出来の悪い男というウワサだった。
ケチな仕事で下手を踏み、服役していたらしい。

俺は2、3回しか顔を合わせた事が無かったが、大した事無さそうなのに、威張り散らしてヤな感じだったのを覚えてる。

だからといって、会長の息子を殺すのはアウトだよ、死体を隠したっていずれバレる。
それでも出来るだけバレないように、俺を使って運んだんだろうけど。

あの出来事から2週間くらいして、Nさんが居なくなった、お前も姿をくらませって、Sさんから電話があった。
バレたんだ。
会長の息子を殺ったのを。

組から距離をおいていたのが幸いして、俺は逃げ延びる事ができた。

SさんやKさんがどうなったのかは知らない。
あれから数年、俺は人の多い土地を転々としている。
これはあるネットカフェで書いた。

もうすぐネットカフェも、身分証を見せないと書き込めなくなるらしい。
これが最後のチャンスだ。
組の人たちがこれを知れば、どこから書いたのか、すぐに突き止めると思う。
だから俺はこの街には、二度と戻ってこない。

誰かあの井戸を突き止めて欲しい。
なぜあの井戸に、暴力団なんかが鍵持って入れるのか。
そうしたら俺の追っ手は、皆捕まるかも知れない。
俺は逃げ延びたい。
これからも逃げ続けるつもりだ。





某怖い話、体験談より
画像は追加しています

ヤバイ仕事の彼は
今どうしてるのか?